毎年、夏には必ず救急搬送される患者が続出する熱中症。
夏の病気と思いがちですが、熱中症は冬や室内でも発症する可能性はあります。一度熱中症を患うと完治にはどのくらいの期間が必要なのでしょうか?
今回は熱中症の症状と回復に必要な期間、対処法と予防法について説明します。
熱中症の回復までの期間について
軽度の熱失神や熱けいれんであれば、意識障害などの症状が現れても一過性のもので後遺症などが残る可能性も低いです。水分補給と休息をしっかり取れば数時間~1日程で回復します。
ですが、中度や重度の熱疲労や熱射病などを発症するとある程度症状が落ち着くまでも最低3日程の期間を要します。
熱中症の回復に要する期間は体力の有無や体調なども大きく関係していて個人差があります。長い人では症状が落ち着くまで1週間以上かかる事もある事を覚えておきましょう。
なお、中度以上の熱中症を発症して完治せずに通常通りに生活していると身体のバランスが大きく崩れます。抵抗力が下がり、少しの暑さで熱中症を再発してしまう可能性があります。
無理をすると合併症などを患ってしまう可能性があるため、早く完治させて通常通りの生活を送るためには無理をせずに療養することが重要です。
熱中症の主な症状について
熱中症には4つのタイプがあり、タイプによって症状も少しずつ違います。
熱失神
熱失神は熱を身体の外へ逃がそうとする働きによって皮膚の血管が膨張し、脳への血流が減少することによって起こります。
熱失神ではめまいや立ちくらみ、冷や汗や意識障害などの症状が現れます。熱失神の意識障害は一過性の意識障害であることが多く、大抵はすぐに回復することが多いです。
熱けいれん
発汗は水分の他に塩分やミネラルなども失われ、塩分補給をせずに水分を補給して血液中の塩分濃度が低下することによって発症します。
熱けいれんでは筋肉のけいれんや筋肉痛、こむら返りなど筋肉組織へ症状が現れます。6歳未満の10人に1人に起こると言われ幼少期に起こりやすい症状です。
熱疲労
汗をかいて水分が失われるも、水分補給が十分でない場合に発症します。全身の倦怠感や頭痛、吐き気や嘔吐などの症状が現れます。
拭いても汗が止まらなくなることがあります。体温は上昇しにくく、40度以上になることはありません。
熱射病
脱水症状が悪化したり、体温調節機能が正常に働かなくなることで発症します。熱射病になると体温が40度以上に上昇し、皮膚が赤くなって乾燥します。
体温調節機能に異常をきたし、暑いはずなのに汗をかかないなど発汗が止まります。その他にも意識障害や臓器障害などの症状が現れます。
熱射病は生死に関わる重篤な状態で、熱疲労は熱射病の一歩手前の状態です。熱疲労や熱射病を発症すると後遺症が残る恐れもあります。
そのため、熱失神や熱けいれんの時点で早急に対処する必要があります。
といったように主に4つの症状があります。
熱中症の際の対処法をチェック
といったように熱中症の症状や期間について紹介してきました。
ではもし熱中症になってしまった際の対処法について確認していきましょう。
涼しい場所へ移動する
木陰、もしくはエアコンが効いた屋内へ速やかに移動して身体の外からの熱を抑えることが大切です。
日差しを避けて体温が上昇するのを防ぎましょう。意識がない人を移動させる場合はなるべく大きく揺らさないように気を付けて数人がかりで移動させると良いです。
衣服を緩める
衣服を緩めて風通しを良くし、火照った身体を冷ましましょう。
首元のネクタイやリボンの類は外し、ボタンを開けて首元を緩めます。ベルトやバンドなども緩めて楽な状態にしましょう。
身体を冷やす
うちわで扇ぐ、濡らしたタオルを当てるなどして身体を冷やしましょう。脇の下や足の付け根などの動脈が通っているところを中心的に冷やすと身体が冷えやすいです。
なお、保冷剤や氷枕で身体を冷やす際は必ずタオルなどを巻いて使用しましょう。直接当てると凍傷になる恐れがあります。
水分補給
汗をかくと体内の水分が失われるため水分補給が重要になります。発汗によって水分とともに塩分やミネラルなども失われていくため、水分補給をする際には血液中の塩分濃度が低下しないように塩分も摂取しましょう。
スポーツ飲料や経口補水液などであれば水分と一緒に塩分やミネラルなどの栄養も摂取出来ます。意識障害があって自分で水分補給が出来ない場合は無理に飲ませず救急車を呼びましょう。
救急車を呼ぶ
そして頭痛や吐き気、虚脱感の症状がひどい、またはけいれんや意識朦朧などの症状がみえる場合は至急救急車を呼ぶようにしましょう。
熱中症は場合によっては死に至る事もあります。なので少しでも症状がおかしいと感じた場合は早く医療機関へ運ぶ事も大事となります。
呼んでいる間も上記の対処法をしつつ救急車が来るのを待ちましょう。
熱中症にならないための予防法を抑えておこう
水分補給
外出時や運動時は常に飲み物を持ち歩き、場所を問わず水分補給が出来るように心がけましょう。熱中症の予防にはこまめな水分補給が重要です。
ですが、発汗して塩分なども失われている状態で水分だけを補給すると熱疲労を起こす可能性があります。スポーツ飲料や経口補水液であれば水分と一緒に塩分も補給出来るため便利です。
適度な睡眠を取る
良質な睡眠を取ることで身体のバランスを保ち、熱中症になりにくくします。
なお、寝ていても熱中症を発症する可能性はあります。寝具や寝間着を吸水性や通気性に優れたものを使用したり扇風機やエアコンなどで室温が高温になりすぎないようにしましょう。
暑くて寝苦しい時は冷却シートや氷枕、保冷剤など冷却に役立つもので血管を冷やすと良いです。
首元など数多くの血管の中で比較的太い動脈が通っている場所を選んで冷やすと身体が冷えやすいです。
気温と湿度の調節
外の気温や屋内の室温、外と屋内の湿度に配慮しましょう。外の気温が高い日は外出を控えるのが良いですが、外出する際は一定の時間置きに日陰で休んだりとこまめに休憩を取りましょう。
屋内の室温が高い場合はエアコンの設定温度を下げる、カーテンで日差しを遮ったり窓を開けて風通しを良くすることで室温や湿度が上がりすぎないように工夫しましょう。
夏場はエアコンが必須のため節電のために暑さを我慢してしまいがちですが、節電を気にするあまり熱中症を発症しないように気を付ける必要があります。
衣類を工夫する
衣類は暑くなったら脱ぐ、寒くなったら着るといったように着脱しやすい衣類で暑さを調節しましょう。
麻や綿の素材が多く使われているものは通気性に優れています。下着は吸水性や速乾性に優れたものが良いです。
外出時は直射日光を避けるために帽子をかぶったり日傘を用いても効果があります。
身体のバランスを整える
しっかりとした睡眠やバランスの良い食事などを心がけて身体のバランスを整えましょう。
身体のバランスが崩れると免疫力や抵抗力が低下し、熱中症以外にも様々な病気を患いやすくなります。
最後に
熱中症の回復までの日数や対処法について紹介してきました。
熱中症は外で遊ぶ事の多い子供や抵抗力の弱くなった高齢者、過去に熱中症になった事のある方などに起こりやすい事があります。猛暑日などは特に注意して外出するようにしましょう。