冬は病気ラッシュです。他の季節に比べて病気が流行ることが多い季節です。低い気温や乾燥した空気が原因で病気が広まりやすい時期なんです。
インフルエンザに続いて流行りやすいのがロタウイルスです。ロタウイルスは非常に感染力が強く、0歳~~6歳までの乳幼児が感染します。
乳幼児はウイルスに対する対抗力が弱く、重症化する可能性が高いので注意が必要です。今回はロタウイルスの症状と感染した時の見分け方、治療法や注意点、予防法について説明します。
目次
赤ちゃんのロタウイルスの症状について
ロタウイルスは胃腸炎を引き起こすウイルスです。
乳幼児に嘔吐や下痢などの症状が出た時は大半がロタウイルスが原因です。
ロタウイルスは感染力が強いことが特徴で、少量のウイルスでも発症します。0歳~6歳の乳幼児が感染しますが、6ヶ月~2歳までがもっとも発症しやすいです。
初めて発症した場合は重症化する可能性が高いとされています。
ロタウイルスの主な症状は5つです。
吐き気と嘔吐
ロタウイルスには風邪と間違えてしまうような症状もある中で、吐き気と嘔吐が一番分かりやすい症状です。
多くの人は吐き気や嘔吐で子供の体調の異常に気がつきます。
ロタウイルスは症状が軽いと吐き気や嘔吐などの症状は出ない場合があります。
ですが初めてロタウイルスに感染した子供や先天性免疫不全の子供、まだ免疫力や対抗力が強くない幼い赤ちゃんが発症した場合は嘔吐症状が強く出る傾向にあります。
時には水分補給も出来ない程重症化する場合もあり、水分補給が出来ないとなると脱水症状を併発してしまう可能性があるので注意が必要です。
嘔吐によって体内の水分が排出されるため水分補給は必須です。
水分を補給する際は必ず吐き気と嘔吐が落ち着いてから少量ずつ飲ませましょう。嘔吐の直後に飲ませる、一度に多量の水分を摂取させてはいけません。
あまりに嘔吐症状が強いと感染初日ですでに脱水症状を併発してしまいます。脱水症状を起こしたまま放置しておくとけいれんや脳症などを引き起こす危険性があります。
母乳やミルクを飲まない、おしっこの回数が少ない、よだれが少ない場合は脱水症状を起こしている可能性が大きいです。
その他にも顔色が悪かったりいつもより眠っている時間が極端に長い場合も注意が必要です。脱水症状を起こしている場合は必ず医療機関を受診しましょう。
下痢
ロタウイルスの代表的な症状は下痢です。吐き気や嘔吐と違い、必ず現れる症状です。
普通であれば2日~7日で症状がおさまりますが、重症化している場合は長引くことがあります。
1週間以上経過しても下痢がおさまらない場合は医療機関を受診しましょう。
便の色について
ロタウイルスの場合、便の色が白いです。
赤ちゃんなど月齢が低い場合はおむつをしているため、おむつ交換の時などに気がつきやすいです。
ですが早い子は1歳からおむつが外れます。2歳~3歳になると昼間は完全におむつを外し、一人でトイレに行く子が増えます。
そうなると子供の便の色に気がつく機会を失ってしまいます。
便の色はロタウイルス以外にもさまざまな病気を見分けるために重要なことなので、白い便や水っぽい便が出たら教えるように普段から言い聞かせておくと良いです。
ロタウイルスを発症すると下痢の回数が多く、おむつかぶれを起こしやすくなります。
下痢の症状が現れたらおむつを替える時にお湯で綺麗に洗い流すようにしましょう。おむつを当てる時も出来るだけ乾かしてから当てましょう。乾かす時はうちわなどで仰ぐと良いです。
腹痛
下痢の症状が出る前に腹痛を伴うことがあります。
言葉を話せる子供は自分から伝えに来る子が多いですが、まだ言葉が話せない赤ちゃんや幼児の場合は気がつきにくいです。赤ちゃんや幼児など言葉が話せない子供の場合は日頃からしっかりと様子を見てあげましょう。
お腹を押さえている時やいつもより不機嫌で泣き止まない時は注意が必要です。腹痛を訴えてきたり、ロタウイルスが流行っている時期にいつもより不機嫌な場合は医療機関を受診しましょう。
腹痛はロタウイルスの初期症状なので、下痢の症状が出始めると便とともにウイルスが体外へ排出されます。
発熱
腹痛と同じく、発熱もロタウイルスの初期症状の一つです。発熱の高さは高熱だったり微熱だったりと個人差があります。
微熱の場合は発熱に気がつかないまま症状が進行してしまい、元気だと思っていたらいきなり下痢になったり嘔吐することもあります。
日頃から熱を測り、子供の平熱をきちんと把握しておきましょう。
風邪症状
ロタウイルスが炎症を起こすのは胃腸だけではありません。上気道にも炎症を起こします。
それにより咳や鼻水など風邪とよく似た症状が出ます。
そのため、嘔吐や下痢などのロタウイルス特有の症状が軽い場合は風邪と勘違いしやすいです。ですが周囲でロタウイルスが流行している場合は飲食物に配慮し、いつもよりこまめな水分補給を心がけましょう。
感染した際の見分け方は?便などに違いあり
ロタウイルスは冬に流行する傾向にあります。ですが同時に冬はノロウイルスも流行ります。
ロタウイルスとノロウイルスのそれぞれの違いについて説明します。
感染時期
まずロタウイルスとノロウイルスで感染時期が違います。
ロタウイルスはは冬~春にかけて流行します。
冬~春にかけて流行するロタウイルスに対して、ノロウイルスは秋~冬に流行します。
潜伏期間
ロタウイルスは5日~6日の潜伏期間と腹痛の初期症状を経て吐き気や嘔吐、下痢症状が現れます。
それに対し、ノロウイルスは1日~2日と比較的短い潜伏期間で発症します。
下痢の症状
ノロウイルスの場合、下痢は比較的軽く済みます。
ロタウイルスは下痢が激しい上に、ベンの色が白いことが特徴です。
上記でも紹介しましたが便の違いは大きな特徴の一つといえます。
感染力
ロタウイルスもノロウイルスも感染力は強いです。
ですが年齢問わず感染を広めるノロウイルスに対し、ロタウイルスは免疫力の弱い子供に広く感染します。
以上の4つがノロウイルスとロタウイルスの主な違いとなります。
ですがノロウイルスとロタウイルス、どちらも感染症であることに変わりはありません。周囲に感染を広めてしまうことを避けるためにも、症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。
感染した際の治療法や注意点について
ロタウイルスに感染した場合は主に対処療法になります。
場合によっては脱水症状を防止する治療や下痢止めが処方されます。ですが一番大切なのは水分補給です。
水分補給が出来ない場合は吐き気止めを処方してもらうことも出来ますが、入院して常時医師や看護師の目がつく場所で療養するのが安心です。
食事に関して
ロタウイルスに感染した場合は食事に配慮しましょう。
赤ちゃんの場合、母乳は今まで通り飲ませることが出来ますがミルクを飲ませる場合は注意が必要です。
ミルクは無乳糖ミルクや加水分解乳に変える必要があります。
吐き気がひどい場合は吐き気が落ち着いてからスプーン一杯の水を飲ませましょう。胃の中のものを吐き切って胃が空の状態の時に多量の水分を補給すると吐き気がぶり返してしまいます。
少しずつ飲む量を増やしていき、水を飲めるようになったら塩分も摂取出来るスポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。
なお、果汁100%のりんごジュースには整腸作用があるとされています。
離乳食を食べる子供の場合、ミルク以外に食べるものも気をつけなければいけません。
ビタミンC
みかんなどやグレープフルーツなど、ビタミンCが豊富に含まれている食材は吐き気を誘発してしまいます。
キウイやパイナップルもビタミンCが多く含まれ刺激が強いため、果物を与える場合はバナナやりんごがおすすめです。
甘いもの
チョコレートやケーキなど、生クリームや砂糖が多く含まれている食べ物もビタミンCと同じく吐き気を誘発します。
食物繊維が豊富なもの
ごぼうやきのこなど食物繊維が豊富な食材は消化されにくいです。胃や腸に負担をかけないためにも消化が良いものを食べさせるようにしましょう。
乳製品
ミルク以外の乳製品は胃腸に負担がかかります。
ですがヨーグルトには整腸作用があるため、ヨーグルトを食べさせる場合は吐き気や嘔吐がおさまりある程度回復してからが好ましいです。
刺激物
刺激物はウイルスにより弱った胃腸を痙攣させる恐れがあります。カレーなどの刺激物は症状がおさまり完治するまでは避けましょう。
ロタウイルスの予防法について
ロタウイルスは大体の子が5歳までにかかります。
感染力が高いため、予防をしていても発症する可能性が高い病気です。それなら予防は意味がないと思うかもしれませんが、感染前から予防策を講じておくことで仮に発症したとしても重症化を防ぐことが出来ます。
手洗いとうがい
ロタウイルスの予防で一番簡単で身近なのは手洗いとうがいです。特にトイレの後や食事前には必ず手を洗うようにしましょう。
消毒
便や吐瀉物にはなるべく触れないようにしましょう。掃除や片付けで触れる場合はゴム手袋などを着用し、決して直接触れないようにしましょう。
ノロウイルスはアルコール消毒よりも熱湯消毒の方が効果的です。おもちゃなどは熱湯消毒出来ますが、床などを熱湯消毒するとなるとやけどをしてしまう可能性もあります。
熱湯消毒が難しい場合は次亜塩素酸水がおすすめです。次亜塩素酸ナトリウムは薬局などでも入手出来ます。
家庭用塩素系漂白剤でも代用可能です。水と薄めるだけで消毒液を作ることが出来ます。
予防接種
ロタウイルスはワクチンが存在します。ですが任意接種なので全額実費となります。
ロタウイルスのワクチンには2種類あります。どのワクチンを受けるかによって接種回数が変わります。
ロタリックス
ロタリックスは2回接種です。
1回目は生後6週~生後20週まで受けられます。
2回目は生後10週~生後24週まで受けられます。
1回目は生後20週を過ぎると受けることが出来ないので注意が必要です。
ロタテック
ロタテックは3回接種です。
1回目は生後6週~生後24週まで受けられます。
2回目は生後10週~生後28週、3回目は生後14週~32週まで受けられます。
ロタリックスと同じく、期日を過ぎたら受けることができません。
なお、ロタウイルスのワクチンは2種類とも生ワクチンです。
生ワクチンは接種後4週間は他の予防接種を受けることが出来ないため、受ける場合はスケジュール調整が必要です。
金額としてはどちらも合計25,000~30,000円程度が相場とされています。費用が高額ではあるのですが、重症化の可能性はかなり下がります。よくご相談の上受けるかどうかしましょう。
関連記事:ロタウイルスの予防接種の費用と効果について最後に
ロタウイルスの赤ちゃんの症状について紹介しました。
ロタウイルスは乳児期~幼児期にかけて感染しますが赤ちゃんが感染した場合症状の見極めなどが難しい事もあります。いつもと症状が違うと思ったら医療機関で見てもらうようにしましょう。